マーケットトレンド の 石油とガスの下流 産業
市場を支配する製油所
- 世界のエネルギー需要は、今後20年間で50〜60%増加すると予想されている。この需要の伸びは、世界人口の増加と発展途上国の生活水準の向上に起因している。新しい再生可能エネルギー源が世界中で人気を集めているとはいえ、石油燃料は依然として世界的に主要なエネルギー源である。この傾向は今後数十年間続くと予想され、石油産業のすべてのセクターに恩恵をもたらす。
- さらに、産業活動の活発化と経済成長は、石油精製業界を下支えするものと思われる。米国やブラジルなどの先進国では、ディーゼルやその他の留出油の需要は今後数年間堅調に推移すると予想される。このような需要の伸びは、これらの国々における強力な製油業界によるものと考えられる。
- 例えば2019年、ブラジルの半官半民の石油会社ペトロブラスは、アブレウ・エ・リマ製油所(RNEST)の製油所能力の増強を計画している。同製油所の処理能力は日量23万バレルとなる予定だ。同製油所には、それぞれ115,000バレル/日の処理能力を持つ精製トレインが2系列設置される。
- 従って、今後5年間は、燃料価格の上昇と消費量の増加に伴い、精製業界は回復すると予想される。従って、製油業界は予測期間中、川下市場の成長の主要因になると予想される。
アジア太平洋地域が市場を支配する
- アジア太平洋地域は2018年の石油・ガス下流市場を支配しており、今後数年間もその支配が続くと予想される。2018年、アジア太平洋地域は世界の石油精製能力のほぼ35%を占めている。
- 2018年現在、インドは世界の石油精製能力のほぼ5%を占めている。石油精製製品に対する需要の高まりは、川下企業に新規プロジェクトや既存施設の拡張への投資を促している。
- Indian Oil Corp.とHindustan Petroleumは、18-19年度予算でそれぞれグジャラートとムンバイの製油所拡張プロジェクトにCAPEXを割り当てた。どちらのプロジェクトも2021年と2022年に稼働する予定である。
- さらに、インドの石油化学業界は、石油化学ハブへの投資をますます重視するようになると予想される。政府は国内の22の製油所の周辺に石油化学コンビナートを設立する計画だ。クラスター化は操業コストを削減し、ブラウンフィールドとグリーンフィールドの開発を伴うと予想される。
- 2018年現在、中国は世界の石油精製能力の15.6%を占めている。予測期間中、同国の石油化学・製油セクターはプラスに転じると予想される。
- 2019年10月、China National Chemical Engineering Group Corporationは、中国南西部の四川省成都市において、ロシアのRusGasDobychaと約120億ユーロ相当の契約を締結した。このプロジェクトは、世界最大のエチレン統合プロジェクトとなる見込みだ。
- 石油精製・石油化学部門への投資の増加と、各国における既存の川下インフラの拡張により、この地域は予測期間中、石油・ガス川下市場を支配すると予想される。